「ゲームづくりに職種の壁は必要ない」ゲーム大好きエンジニアの働き方

スマホゲームの企画・運営・配信を行っているサムザップでは、さまざまなメンバーが活躍しています。

サーバーエンジニアとして複数のプロジェクトを経験し、現在は開発ディレクターを務める中村。
エンジニアという職種の枠を超えてバリューを出す彼は、プロジェクトにいなくてはならない存在となっています。
そんな中村に今までのキャリア、大切にしていること、これからどんなことをしていきたいのかを聞きました。

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企画と開発の責任を持つ「開発ディレクター」


—— 今までの経歴を教えてください。

私は、携帯ゲームといえばまだガラケー全盛期の時代にサーバーエンジニアとして入社しました。
入社当初に強く印象に残っているのは、一つ一つのこだわりが強いということです。
Flash一つ作るにしてもプランナー、クリエイター、エンジニアが一緒に何度もクラッシュアンドビルドを繰り返していて「え?ここにこんなにコストかけるんだ!?」と良い意味で驚きました。
以前の会社だと、エンジニアは仕様書を待ってその通りに作るという雰囲気だったので、文化の違いに衝撃を受けました。
元々自分の考えたゲームが作りたくて入社したので、その雰囲気がとても嬉しかったのをよく覚えています。
入社後は複数のゲームタイトルの開発を経験した後、今は「戦国炎舞 -KIZNA-」を担当しています。

—— 「戦国炎舞 -KIZNA-」ではどんな仕事をしていますか?

開発ディレクターをしています。
GvG(合戦)、クエスト、協闘バトルなどのインゲームの企画と開発の責任者です。

「戦国炎舞 -KIZNA-」の開発チームは、機能毎にプランナー、エンジニア、QAなどがまとまって1つのチームを作って開発に取り組んでいます。
私はインゲーム機能のチームに所属しており、そのチームの企画とエンジニアリングのディレクションやメンバーのマネジメントを主な仕事としています。

—— 開発だけでなく企画も行っているということですが、開発ディレクターになったキッカケはありますか?

「開発ディレクターに俺はなる!」と言ってなった訳ではなく、いつの間にかなっていたという感じです。
「戦国炎舞 -KIZNA-」では、始めはサーバーエンジニアとして合戦という機能を担当していました。
ですが、合戦を担当しているうちに、ゲームとしての課題とシステムとしての課題の両方をクリアしなければならないような場面に出会いました。

例えば、合戦は20人 vs 20人のギルドでバトルをする機能なのですが、以前は合戦中に「実行できませんでした」というメッセージがよく出ていました。

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これは、40人がリアルタイムでバトルをする上で、各プレイヤーのHPやギルド共通のコンボ数などの値の整合性を担保する為に、データの更新時にロックをかけるシステムになっており、ロックの解放待ち時間が閾値を超えた場合に「実行できませんでした」が表示されるというものです。
当時、この問題はエンジニア側からするとパフォーマンス改善だけでは完全には無くすことができず、かなり苦労をしていました。
しかし、企画側からするとゲームとしてこの問題は許容できず、優先度高く改善したい問題として上がっていました。
この問題を解決するに当たって、エンジニア側と企画側の両方をよく知った上で許容できる部分は許容しながら改善していく必要があり、そういう役割をしているうちにいつの間にか企画にも手を出すようになっていました。

私は、エンジニアとしてゲームを開発することはもちろん、プレイヤーとしても「戦国炎舞 -KIZNA-」が大好きで、プレイするのが生活の一部になっているくらいの人間です(笑)
なので、企画も開発も担当できるというのは、とてもやりがいを感じています。

企画面 / エンジニア面で大切にしていること


—— 企画面で大切にしていることはありますか?

ゲームの運営としてだけでなく、いちプレイヤーとしてゲームの課題に感じるところを起点にして企画を考えることを大切にしています。
ゼロから面白いものを作るというよりは、今の体験を損なわずに課題をどうやって改善できるかというところですね。

例えば、APの回復手段を「合戦中クエスト」から「AP陣太鼓」に変更するということを過去に行いました。

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合戦では攻撃・応援などの行動をするのにAPを必要とするのですが、以前はこのAPを回復するために合戦中に「合戦中クエスト」をプレイする必要がありました。
この時、運営としては以下の課題を感じていました。

  • 合戦中クエストをプレイしている間、合戦Pと奥義を除いた合戦の戦況が分からなくなってしまう
  • APがなくなる度に合戦中クエストをプレイしなければならず、合戦中にも関わらず合戦よりも合戦中クエストをプレイしている時間の方が長くなってしまう
  • 合戦中クエストを何回もプレイするためには握り飯という体力回復用のアイテムが必要で、握り飯の所持数が少ないプレイヤーにはハードルがある

この課題を解決する上で、プレイヤーとして大切にするべきポイントの

  • クエストで回復するAPには幅があり、稀に大量回復となることが嬉しさに繋がっている
  • AP回復にかかる時間が変わることで、合戦中に行動できる回数が変わってしまうとプレイに影響が出る

等を考慮して作ったのが今の「AP陣太鼓」という機能です。
最近はこういった課題に対して、リアルイベントやYouTube、Mirrativ等での配信を通して、お客様の声を参考にすることも大切にしています。

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※開発ディレクター「猿飛 佐助」としてリアルイベントやYouTube、Mirrativ等での配信も担当しています。

—— エンジニア面で大切にしていることはありますか?

実装する上で企画や仕様書がすべてではないということでしょうか。
受け取り方によってはエンジニアとしてそれでいいの?という感じですが (笑)

私たちは仕様書通りに実装することではなく、ゲームを面白くしたり改善したりすることが目的なので、企画をしっかりと理解し歩みよりや提案、時には拒否も大事だと思っています。
企画の目的をしっかり聞いた上でもっとそれに適した技術や実装方法があれば提案しますし、サーバ負荷的にどうしても今よりレスポンスが悪くなってしまったりユーザに不利益が発生する場合には拒否する場合もあるということですね。
もちろん拒否するのは最後の手段で出来る限り実現できる方法はないか最初に考えますけどね。
またそういうスタイルでいる以上は仕様やユーザ感覚も理解しなくてはいけないので、自分の担当しているゲームはプランナー以上にプレイするようにしています。

ゲームづくりに職種の壁は必要ない


—— 働き方がエンジニアの枠を超えていると思うのですが、大変では?

枠が広くて大変だと思ったことはないです。
企画だとかエンジニアだとか、あまり職種の壁は作らないようにしています。
その分責任は重くなりますが裁量の幅が広がり、私の場合はそれがやりがいに繋がっています。

ただ、自分でコードを書いていた時の方が集中できたし、楽しかったかもなと思うことはあるかもしれないです(笑)
自分でコードを書く量は減りましたが、プロダクトマネジメント、ピープルマネジメントという関わり方でエンジニアと企画を巻き込んで1つのプロダクトを作るという意味では、すごくクリエイティブなことをしているし、どうやって成果を最大化するかと考えて上手くいったときは一人でコードを書いていた時よりもより大きな達成感を得られています。
先ほどリアルイベントに少し触れましたが、この仕事は直接お客様の反応をうかがうことができます。
お客様から直接喜びのお声を頂けたときなどはとても嬉しくなりますね。
今は職種の枠を超えて多くのチームメンバーやお客様と関わる機会が増えて楽しいです。

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—— 最後に今後の目標を教えてください。

「戦国炎舞 -KIZNA-」の開発ディレクターとしては、6年間もお客様に愛されているゲームをあと10年、20年も続くような伝説のゲームにしたいです。
そのためには、最新のゲームに負けないようにアーキテクチャから一新して面白さも中身も常に第一線で争えるようなものにしたいと考えています。

個人的なところでは、

  • どんなプロジェクトでも最大の成果を出すよう導けるようなエンジニアマネージャーになりたい
  • 大ヒットするようなゲームを自分で考えつくってみたい

合体させると「自分で考えたゲームのプロデューサー兼エンジニアマネージャーをやって大ヒットさせる!」ですかね。
プロデューサー兼エンジニアマネージャーというと二足の草鞋のようにも見えますが、職種の壁を意識せずに成果を出すことにこだわっていきたいです。
幸い、弊社はそういう挑戦を認めてくれる文化が強いので機会をみて挑戦したいと思っています!

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中村 一謹

サーバーエンジニア / 戦国炎舞 -KIZNA- 開発ディレクター
趣味:漫画・アニメ鑑賞、ゲーム